(続)いつか見た光景 〜 意識 〜
摂理の中で生を授かり、少女のまま天に召される。
神が源あり全てを肯定するならば、失われし生魂(みたま)は、いま何を求めているのか。
生とはなんだろう。
死とは全ての終焉なのだろうか。
二人で夢を探した。
最期の君の言葉 "好き、一緒にいたい" 。
あれから、十数年が過ぎた。
どこにいるか分かるか?
今、二人で夢見た国境なき医師団としてウガンダにいる。
「菜摘先生、陵先生の意識が戻られました」
看護士の声が遠くで聞こえる。
何が起きているのだろう。
天井が薄っすらと見える。
「陵くん、菜摘よ」
懐かしい声えだ。
「心配した。良かった」
涙が君の頬をいくすじも伝わっている。
10日間、昏睡状態にあったらしい。
エボラ熱出血症に感染した。
日毎にからだは回復していくが、夢と記憶が混濁している。
職場へ復帰するまでには時間をようした。